さて、パピー(子犬)の社会化がどうして、非常に大事だと言われるのか。
まず、子犬の発達について、お話ししていきたいと思います。
子犬の成長は
0~2週⇒ 新生子期(母親がすべてお世話をする時期)
2~3週⇒ 移行期(目が開き、耳も聞こえるようになる)
3~12週(1ヶ月~3ヶ月)⇒ 社会化期(好奇心が出てきて同居犬と遊び始める)
12~30週(3ヶ月~性成熟)⇒ 若齢期(運動能力の向上・社会的本能が芽生える)
と、4つの段階に分けられています。
この中で、注目すべきなのが太字の社会化期です。
社会化期の子犬は、歯が発達し始め、好奇心も高まります。他の犬や人間に対して興味を示し始めます。動くものを見るや否や、好奇心に駆られて寄っていきます。そして、じゃれて、遊ぼうとします。
犬や人のみならず、知らない場所や知らない音、見たこともないものでも、怖がらずに受け入れます。何でもかんでも、ただただ『面白い~♪』ってな感じの時期です。
これは、恐怖心が低いためです。特に、生後1ヵ月の子犬は、いろいろなものに接近して調べようとしますし、動くものなら何でもついていきます。ちょうど、このころ、離乳食を食べ始めるときでもあります。
生後2ヶ月ごろになり始めると、徐々に新しいもの・なじみのない状況に対して尻込みするような傾向が出てきます。この傾向は、どんどん顕著になっていき、生後三か月を過ぎるようになると、他の動物や新しく見たものに対して、警戒するようになります。慣れ親しんだ仲間たちに対しては社交的ですが、それ以外の者に対しては避けるようになっていきます。
これは、なぜなのかというと…
この図のように、好奇心は徐々に下がっていきますが、恐怖心・警戒心は逆に徐々に上がっていきます。3ヶ月ごろに、逆転して、恐怖心・警戒心が好奇心を上回るようになります。
社会化期である1ヶ月~3ヶ月が、大変重要である意味が、お分かりいただけたでしょうか?
この恐怖心の少ない時期のうちに、さまざまな経験をしていると、成犬になったときに出会うであろう、たくさんのシチュエーションに対する適応能力が高まります。
例えば・・・
仲間(家族・友達)と、楽しく遊ぶことが出来る。
人間に対して、どのように接すればよいのかわかっている。
知らない人に対しても、落ち着いて挨拶することが出来る。
散歩で知らない犬に会っても、落ち着いてすれ違うことが出来る。
雷の音が鳴っても、怖くないことを知っている。
花火は、遠くで鳴っているもので、怖くないことを知っている。
お客さんが来ても、大騒ぎしなくていいことを知っている。
ドッグカフェに行ったら、おとなしくしていれば、美味しいものが食べられる
動物病院は、待ち時間は長いけど、ちょっと我慢していれば、診察はすぐ終わる。
と、数え上げたらきりがないのでこの辺でやめますが、さまざまな経験を積めば積むほど、大人になったときに、変化(いろんな刺激や状況)に対処する能力が高まることが、わかっているのです。
もちろん、社会化は成犬になっても、継続して学んでいく必要のあるプロセスです。
一生、学び続けることになるでしょう。特に社会化期を過ぎても、2歳くらいまでは、継続して多くの刺激に慣らしていくことが望ましいでしょう。
しかしながら、パピー(子犬)時代の社会化期に経験したことは、その犬の将来の個性や気質の形成に、もっとも大きく、長期的な影響を及ぼします。
その子の運命を決めるといっても、過言ではありません。
ですから犬にとって、社会化期における初期体験は、非常に重要です。
できるかぎりの多くのポジティブな体験をさせてあげてください。
それが、子犬にとって最も喜ばしいギフトになるはずです。
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